メバルのルアーフィシング(入門者向け)

メバルのルアーフィシング(入門者向け) イラスト:小倉 隆典
  • 分 類カサゴ目フサカサゴ科メバル属
  • 学 名Sebastes inermis
  • 英 名Darkbanded Rockfish
  • 別 名クロメバル、メバチ、メマル

釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

特徴

◆こんなところで釣れる

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昼間のメバルはこのように岩礁 帯の上に群れを形成しているが 夜間はバラバラに行動する。

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目が大きく視力が良いといわれる。

◯根魚に分類されるほど岩礁好き
メバルは釣りでは根魚に分類されることが多い。本来は岩礁帯や藻場周辺をテリトリーとする魚で、根や岩の隙間に入り込むことはない。だから、根魚狙いのように、穴を確かめるような釣り方はしないので覚えておこう。港で狙う場合、船が荷揚げする岸壁から堤防、テトラ、常夜灯と全てがポイントになりうる。ただしデイゲームでの釣果はあまりよくなく、ほとんどがナイトゲームでの実績だ。

◯本命はテトラ、 夜間は常夜灯
デイゲームでも狙えるポイントはテトラ周辺と少し沖にある藻場、岸壁の際などだ。これらはメタルジグやバイブレーションを使って誘うと効率よく釣ることができる。特に際にいるメバルは季節によるが見ながら狙うこともできるので、デイゲームならではの醍醐味が味わえるだろう。しかしメバルの本番はなんといっても夜にある。古くからエサ釣りではメバルの夜釣りが盛んに行われていたから、その習性がよく分かるだろう。ナイトゲームでは常夜灯周りが定番のポイント。明るい部分に集まった小魚などを食べようと、メバルは暗い場所で待ち構えている。また大物ほど真っ暗な場所に潜んでいることを付け加えておこう。

◆タックルとルアー

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◯ロッド
メバルはワーム(ルアー)を噛み付くようにバイトするから、そのときに抵抗を和らげる軟らかいティップ(竿先)が好ましい。硬いと引っ張り合いのようになってしまい、メバルのアタリを弾いてハリ掛かりしないことが多くなる。
この食い込みの良さや軽量ルアーの投げやすさから考えると、他のロッドで流用が効くものはほとんどないためメバリング専用ロッドが最良となる。
メバリングロッドにはソリッドタイプとチューブラータイプがある。ロッドティップのことを指しており、前者は軟らかく食わせ重視、後者は操作性とフッキング重視という感じだ。本書ではジグヘッドリグをメインとしているから、最初に購入するならソリッドティップがおすすめ。フッキングを意識しなくてもそのままリールを巻き続けることでフッキングまで行え、初心者にはおすすめだ。
ロッドの長さは体格に合わせるのも大切で、一般的には8ft以下が使われている。短すぎるとキャストしづらいので注意。
もう一つの注意点として、ロッドの最下部(バット)が極端に短いタイプがある。取り回しとしては片手で操作できるほど良好なのだが、慣れないとキャストコントロール性が悪く飛距離も出にくいため、初めてのロッドとしては避けたほうが無難だろう。

◯リールとメインライン
スピニングリールの1500〜2500番内で選ぶ。番数が小さいほど軽量で小型化するから疲れること無く連続使用が可能だが、メインラインの糸巻き量も少なくなる。またスプール径が極端に小さなものはスプールに巻いた糸にクセがつきやすく、そうなると著しくキャスト性能を欠くので注意が必要だ。
リールスプールに巻くラインは、しなやかで巻きグセがつきにくいナイロ素材がおすすめ。メバルは目が良いとされているから、ラインカラーが派手なものは好ましくない。気になるなら無色(透明)ラインを選ぼう。

◯ジグヘッド
オモリの形状は砲弾型や丸型が標準。ヤジリ型など先の尖ったものも人気だ。メバル狙いの場合、同一レンジを探るのが基本。分かりやすく言うと斜めではなく真横にルアーを引いてくるということだ。このため、レンジキープ力に優れたジグヘッドが使いやすくなる。
これがうまくできなかったりよくわからない場合、オモリの前部が平たくなった水流を大きく受けやすいタイプを使えば、比較的楽にレンジキープが行えるのでおすすめだ。ただし、ロッドのブレが大きくルアーに影響するから、ロッドはしっかりと握ること。

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メバル狙いの場合、ジグヘッドのフックは長くても問題ない。ただし、ワームの長さとの相性があり、ワームに対してフックが短すぎると掛かりが悪くなる。シンカーの形状は砲弾型が基本。ヤジリ、三角なども好まれるタイプだ。また、収納はケースを使うと楽に取り出せて便利。在庫管理や種類の確認にも使えるのでおすすめだ。

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ワームはまっすぐなものが基本で食いも良い。それでも釣れない状況が出てくるから、予備として少し形の違ったワームを準備しておくと心強い。匂いつきやグロー系は特におすすめで、オールマイティーに使える。

◯ワーム
ピンテールワームと呼ばれるまっすぐで尻尾が細くなっているワームをメインに使用し、メバルの活性や海水の濁り具合に合わせて、ワームのアピール力を調整する。
メバル狙いのカラーの王道はグローカラー。いわゆる夜光素材が練り込まれたものだ。
これを基準に、バイトが少ないときや海水が濁っているときはアピール力を増すため、カラーではなくテールがまっすぐではないワーム(シャッドテールやカーリーテール)を使う。逆に海水の透明度が高いときや釣り続けてバイトが少なくなったときはアピール力を下げるため、レッドやクリアカラーを使うと良い。ただし月明かりや場所によりけりなので、ワームのカラーは少なくとも3色用意しておこう。
サイズは2inが基準。フックに対してまっすぐにワームを刺すのが前提で神経質なほど気にする釣り人も多い。小さなワームほど曲がった付け方をすると海中でクルクルと回り、メバルの食いが極端に下がるので注意。小さなバイトばかりで掛かりが悪い場合は、ワームの頭を少しだけ切ると掛かりが良くなることもある。

◆狙い方

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◯漁港のラン&ガン
メバリングを始めるなら、最初からナイトゲームが良い。デイゲームでは釣れない回数のほうが多く、大型を狙うのにもあまり適していないからだ。それとメバルはシケを嫌うため、荒れた日は極端に釣果が落ちてしまう。できれば全く波立たないような日が好ましい。シケ気味の日は海底付近でじっとしていることが多い。
しかし、初心者にとってナイトゲームはトラブルがいっぱい。暗くて困ることは山ほどある。せめて結び方くらいは困らない程度に覚えておこう。キャップライト、救命具、滑らないシューズも同様だ。
初めて行く場所では明るいうちに下見をしておくと良い。日が暮れたら堤防の付け根から探り始め、船の間、コーナー部分など、くまなくルアーを通していこう。最低でも1ポイント3キャストは行いたい。バイトがなければ次々とポイントを替えて狙うことをラン&ガンという。もちろん釣れればそこで釣れなくなるまで粘ればよいこと。当日魚がいる場所を探し当てることが最大の目的だ。

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◯常夜灯周辺は暗い部分を狙う
ナイトゲームでは、どんな魚を狙う場合でも常夜灯周辺は外せないポイントだ。人間でいうところの繁華街といったとこだろうか。
食べられる側のベイトたちは周囲が見渡せる明るい場所へと集まり、暗い部分にはそれを狙うフィッシュイーターが待ち構えているといった構図だ。だから明るい場所を狙うのではなく、その周囲の暗い部分にルアーを投入して明るいほうへ、または明暗の境目付近を念入りに探るようにする。
ここは数キャストして釣れなかったからといって諦めるのではなく、入れ替わり魚が寄ってくる場所なので、粘って回遊してくる魚を待つか、場所を変えるかが悩みどころでもある。

◯テトラは重点的に
常夜灯の光が届かない場所でも、テトラ周辺は元からエサが豊富な場所なので、メバルにとって格好のエサ場となりやすい。
特に産卵前の11〜12月と産卵後の2〜3月、海が凪いでいる日はメバルが表層付近までエサを補食しに浮上してくることがある。このときは1キャスト1キャッチくらいのペースで食ってくることもあり、メバリングの楽しさを120%味わえるシーズンである。入れ食いになるキーワードは風が弱く凪いでいる夜間で、潮が満潮になる時間帯だ。

◯真っ暗な場所は大物が潜む
漁港内で外海に面している場所や水深があるポイントの中で、光がまったく当たらない部分があれば大型のメバルが潜んでいる確率が高い。
大型の条件として、潮通しがそこそこ良く、身を隠すことができる障害物があること。そして楽してエサが狙える場所だ。大きくなるほどエネルギーの消費も大きくなるからより多く食べなければならなくなる。魚たちはこのことを熟知しており、大型ほど捕食しやすい場所に潜んでいるのだ。

◆知らないと損するテクニック

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◯状況によってレンジが大きく変わる
ベタ凪を釣れというほどメバルはシケを嫌う傾向にある。しかし、メバルがその場所から大きく移動するわけではなく、海が静まるまで海底付近でじっとしていることが多い。このとき、メバルの食い気は落ちているものの全くルアーで狙えないわけではない。
狙い方として、遠投したルアーをできるだけまっすぐにフォールさせて海底まで沈める。着底したらルアーを根掛かりしないようにしながらできるだけゆっくりと引く。たまに引くのをやめて再度ルアーを海底に落としてルアーが浮き上がっていないか確認しながら、徹底して底付近を狙ってみる。これでバイトがなければ、少しずつ浅く狙うようにしてみよう。軽いジグヘッドで実践するのは少々難しいが、これができるようになれば、いろんな状況でメバルを確保しやすくなる。
これは釣っている最中でも急に起こることで、釣り始めに浅いレンジで釣れてそのうち釣れなくなっても、メバルがいなくなったのではなく深い場所へ移動したことも多いから、帰る前に試してみると良い。

◯フッキングテクニック
本章で見本としたタックルは、メバル狙いでは基本となるジグヘッドリグだ。これに合ったロッドはソリッドティップモデル。これを使う場合、メバルのついばむようなバイトがあってもハリに掛かるまでそのままリールを巻き続けて自動的にハリ掛かりさせるのが基本だ。無理にフッキングさせようとロッドを動かすとハリが刺さらないことが多い。
逆にチューブラーティップモデルを購入した場合は、バイトがあればロッドをシャープに引いてフッキングさせることが必要となる。

◯リトリーブ速度
メバルはルアー釣りの中でも超低速でルアーを引きながら狙う釣り方だ。この速度を説明するのは難しいが、基本は同じ深さをルアーが動く速度だ。あえて言うなら、リールハンドルを1・5秒間に1回転くらいだろうか。とにかく、バイトがない場合は自分なりに速くしたり遅くして調整してみよう。1尾でも釣れれば、その速度がなんとなく分かるはずだ。

◯最後まで諦めないこと
目一杯キャストしてゆっくりとルアーを引いて狙っていると、ルアーが足元付近に来たとき、リールを急いで巻いてルアーを回収し、次のキャストを急くことも多い。しかし、メバリングの場合はご法度。ナイトゲームでは暗くて分かりづらいがルアーの後ろからメバルが付いて来ていることも多い。ルアーに飛びつくきっかけがなくそのままついて来たという感じだ。なので、ルアーが海面に出ようとする瞬間に飛びついてくることがある。また堤防では敷石付近に潜んでいる個体も多く足元でヒットするケースがよくあるから、ルアーは最後まで気を抜かないように引いてこよう。

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協力・株式会社ケイエス企画

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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