アオリイカとニンニクは抜群のコンビネーション
釣り好き、魚好きにはおなじみのアオリイカだが、一般的にはまだそれほど知られていない。その理由の一つは、値段が高いことにある。寿司店でも高級なネタの一つに数えられ、都市部のスーパーでは、店頭に並ぶことも珍しい。イカが取れる漁港付近の市場や鮮魚店で見られるくらいだろうか。
さて、ほかのイカに比べて食感が優しいアオリイカは、身がおいしいのはもちろん、エンペラやゲソも絶品である。ゲソは軽く塩を振ってあぶって食べると抜群。エンペラの刺身も独特の歯応えがたまらない。
刺身でも食べられる新鮮な身とゲソにニンニクを効かせて、塩、コショウで炒めてみた。
食べる直前にレモンを絞って頂こう。パスタにからめても最高だ。
[さばき方・作り方]
イカ類は食感をよくするため皮を剥く必要があるが、アオリイカは比較的簡単に皮が剥ける。なお、刺身でも食べられる新鮮なイカを使っているので、ソテーする場合は、柔らかな食感を楽しむためにも、火を通しすぎないよう注意しよう。肝を加えると、よりコクのある味も楽しめる。
[材料](4人前)
アオリイカ(1.5kg級の身とゲソ)- 1/2ハイ
ニンニク - 3片
塩、コショウ - 各適量
炒め油 - 適量
アサツキ - 適宜
レモン - 1/8個
アオリイカのガーリックソテー
①アオリイカを裏返した状態でまな板におき、裾のほうから包丁を入れ、胴の中心を切り開く。
②内臓と身がつながっている膜状の部分を包丁でていねいに切ったら、頭(目がある部分)を持って、崩さないように注意しながらワタを外し、そのあとで骨も取り外す。
③墨袋を破かないようにしてワタを取り除いたら、目と目の間を包丁で切り開き、水のなかで目と口を取り除く。口の周りはおいしい部分なので捨てずに利用する。
④骨があった部分に包丁を入れ、身を二つに切り分ける。身とエンペラを分けたのち、包丁を入れた断面部分から皮を剥く。エンペラ部分も同様に皮を剥く。
⑤薄皮はペーパータオルや布巾を使うとつかみやすい。これを取り除くと食感がよくなるが、それほど神経質にならなくてもよい。
⑥身に浅く包丁目を入れたのち、やや厚みのあるそぎ切りにする。ゲソは、そぎ切りにした身の長さに合わせてぶつ切りにする。
⑦軽く塩、コショウを振ったのち、みじん切りかすりおろすかしたニンニク1片を加えてよく混ぜ、下味を付ける。
⑧フライパンに炒め油(今回はグレープシードルオイルを使用)をやや多めに入れて⑦を炒め、塩、コショウ、残りのニンニクで味を調える。火を通し過ぎないように注意。小口切りのアサツキを散らし、レモンを添えて完成。
エンペラのイカ納豆
アオリイカはエンペラもおいしいので、無駄にせず、是非おいしく食べてほしい。炒め物にしたり、細切りにしてイカそうめん風の刺身にしたりと、さまざまな調理法で楽しめる。シンプルな刺身にちょっと手を加えて、歯応えを生かしたイカ納豆を紹介する。ごはんのおかずとしても、肴としても最適な一品だ。
タマネギを加えることで味と食感に変化がつく。釣れたてのコリコリしたエンペラと納豆の粘りで、いつものイカ納豆とはちょっと違ったおいしさが楽しめる。特別な仕事のいらないシンプルな料理だが、そのぶん食材のよさが生きる料理だ。
[材料](4人前)
アオリイカ(1.5kg級のエンペラ)- 1/2ハイ
納豆 - 1パック
タマネギ、大葉、ショウガ、アサツキ - 各適量
卵黄 - 1個
醤油 - 適量
A.作り方はいたって簡単。皮を剥いたエンペラを、包丁の先を滑らせるようにして細切りにする。
B.そこに納豆、粗めのみじん切りにしたタマネギ、千切りにした大葉、細かなみじん切りにしたショウガ、卵黄1個を加えてよく混ぜるだけ。
【料理監修:森山 利也】
千葉県富津市で居酒屋「はいから屋」を25年営み、現在は築地場外市場で曜日限定の店「JOJO BAR」をプロデュース。自ら店に立ち旬の魚や自家製の野菜など、新鮮な食材を使った様々なメニューを楽しめる。
そして包丁捌きの基本や海に関わることを学べるリアル「森山塾」も主宰。
また、ベテランの釣り人として各方面で活躍し、豊富な経験と見識を持つ。
上記は森山氏がビギナーにも無理なく作れるものとして紹介していただいたおすすめ料理だ。
【協力:株式会社 舵社】
参考本:スクラップブック of 釣果料理
http://www.kazi.co.jp/public/book/bk04/5126.html
4人の達人が贈る、全38魚種、144種のレシピを掲載
『ボート倶楽部』の連載や特集記事の中から、さと丸、森山塾長、Mr.ツリック、ウエカツ水産の4人が書いた釣果料理の記事だけを厳選&抜粋して集めた単行本。
釣った魚をおいしく食べる達人たちのおすすめ料理を作れば、みなさんの家の食卓が豊かになること間違いなし。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)