ホシギス【星鱚】

ホシギス【星鱚】 イラスト:小倉 隆典
  • 分 類スズキ目キス科キス属
  • 学 名Sillago aeolus
  • 英 名Blotchy sillago
  • 別 名ウジュル、チングヮ

釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

分類・分布

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日本産のキス類としては、キス属のシロギス、ホシギス、モトギス、アトクギス、アオギスの5種がいる。
このうちホシギスは、種子島以南に分布する南方系のキスの仲間で、とくに奄美諸島や沖縄周辺ではポピュラーな種類である。世界的には日本を北限として、台湾、フィリピン、インド、オーストラリアなどにも広く分布している。
日本産南方系のキス類としては、ほかにモトギスがおり、こちらも沖縄本島以南に分布する。モトギスは河口周辺を好んで棲息するため、近年ではダム工事などによる河川や河口の環境変化により、数が減っているとみられる。また、アトクギスはもともとインド洋・西大西洋に分布しており、日本にはいないとされていたが、2001年に西表島で確認された。日本では希少種であり、なかなか目にすることはない。


特徴

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ほかのキス類同様、紡錘形の細長い体形をしており、断面は円形に近く、尾の近くは側扁している。シロギスに比べると体高があり、太い。また、頭も大きめである。口は小さい。
体色は褐色で、腹側は白色。棲息するエリアの砂地と同化するような色合いだ。そして、体側には2列の暗色斑が並ぶのが特徴。
背ビレは褐色、腹ビレと尻ビレは半透明から白色。背ビレは2基で、第2背ビレには3列の暗色斑が並ぶ。また、胸ビレ基部に黒色斑が見られるが、斑の色味が薄い個体もいる。
弱ったり死ぬと、体側にいくつもの暗色の斑点が現れるのが一番の特徴。種子島などではシロギスとホシギスの両方が釣れるが、この点で簡単に見分けることができる。ただし、大型のホシギスになると、斑点はあまり目立たなくなってくる。また、モトギスは本種よりやや青みがかった体色をしており、背ビレに黒い斑点がある。
最大で全長40㎝程度まで成長するが、近年では30㎝を超えるような大物は、以前ほど釣れなくなっているという。


性質

沿岸部の砂底や砂泥底の浅場まで遊泳し、河口域へ侵入してくることもある。身の危険を感じると、砂に潜ることもある。
主にイソメなどの多毛類、小さなエビなどの甲殻類を食べる動物食性。エサを捕食するときは、細長い唇を突き出して砂底に潜む獲物を吸い込むように食べる。
産卵期は、本土のシロギスが夏頃であるのに対し、ホシギスは低水温期の2~3月頃とされる。


文化・歴史

本土でシロギスが釣りや料理の対象として親しまれるのと同様、琉球列島でもキス類は親しまれている。
ホシギスという名は、死ぬと現れる斑が星のようであることから付いた名である。同様に英名の「blotchy」も染みや斑点のことであり、斑のあるキスという意味だ。


釣り方

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沖縄や奄美の全土で狙えるが、実際によく釣れるポイントはある程度決まっているので、地元の釣具店で教わるのが一番だ。シーズン的には、シロギスと違って夏場はあまり釣れず、秋~冬がベスト。大物は1~3月が狙い目だ。
シロギスと同じように、投げ釣りやボート釣りなどで狙うほか、フライフィッシングで釣ることもできる。

【投げ釣り仕掛け】

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チョイ投げなら、仕掛けは8号前後のテンビンオモリに、全長70㎝程度のチョイ投げ仕掛けでOKだ。広いサーフなどで遠投する場合は、図のように25号以上の投げ竿と投げ釣り専用リールの組み合わせを選択。ラインはPEの0.8号前後にチカライト(投げた時のショックで道糸が切れない様、オモリと道糸の間につなぐ太い糸)を結節する。オモリは20~25号で、仕掛けは1.2mほどの吹き流しタイプとする。
付けエサは、沖縄の釣具店で入手できる「島ミミズ」が特効エサとして知られている。ただし、当地でも入荷が不安定なエサなので、本土から遠征する場合は保険としてチロリなどを持参する人も多い。それが面倒なら、現地で買えるアオイソメでも十分に使える。

【フライ仕掛け】

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とくに大型のホシギスは、フライにも果敢に反応してくる。タックル(竿、リール、糸を含む道具一式)は6番前後で、ラインはシンキングタイプを使用。フライは、#12~10程度の小エビやイソメを模したボトム(海底)を狙えるタイプが人気。適宜、リーダー(フライラインとフライを繋ぐテーパー状になったライン)にもシンカーをつける。干潮時に浅場を攻めるスタイルが定番だ。


料理

シロギス同様、淡泊でクセのない柔らかな白身。料理方法もシロギスと同様と考えてよい。刺身のほか、天ぷら、塩焼き、フライ、唐揚げなどいずれもおいしい。
昆布締めや一夜干し、塩やダシ汁で味つけした衣の沖縄風天ぷらにしたりして、アレンジするのも楽しい。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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