
カジキはスズキ目カジキ亜目(Xiphi-oidei)に分類される魚の総称である。いずれも温暖な海を高速で遊泳する大型肉食魚で、上アゴが剣のように長く鋭く伸びて吻(ふん)を形成する。太平洋、インド洋、地中海、大西洋など全世界の海に棲息しており、食用やトローリングによるスポーツフィッシングの対象魚としても重要な魚種のひとつだ。生態や肉質がマグロに似ることから「カジキマグロ」という俗称もあるが、マグロとはまた異なる分類群である。
カジキ亜目は、メカジキ科(Xiphiidae)とマカジキ科(Istiophoridae) の2科からなる。分類によってはサバ亜目に含めたり、カジキ上科(Xiphioidea)としたりもする。全世界に10~12種が分布し、このうち日本近海には、メカジキ科のメカジキ、マカジキ科のマカジキ、バショウカジキ、フウライカジキ、シロカジキ、クロカジキの6種が棲息している。
クロカジキは太平洋、大西洋、インド洋の熱帯や温帯の海域に棲息している。日本近海では、本州南部太平洋岸から九州北岸・朝鮮半島南岸まで分布し、カジキ類のなかではとくに高温を好む傾向にある。