カワハギと同属の魚で、北海道南部以南の日本近海から東シナ海、南シナ海にかけて分布する。昔は、関東ではそれほど水揚げ量のある魚ではなかったが、1970年代から定置網などで大量に獲れるようになった。1990年代前半以降は、再び漁獲量が減少している。
ウマヅラハギ【馬面剥】
- 分 類フグ目カワハギ科ウマヅラハギ属
- 学 名Thamnaconus modestus
- 英 名Black scraper
- 別 名ウマヅラ、ツノギ、ナガハゲ
釣りシーズン ベストシーズン 釣れる
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
体型は著しく側扁しており、カワハギに比べると細長く、楕円状となっている。ウロコはカワハギ同様に絨毛状で、表面はザラザラとしている。体色は薄青灰色~薄茶色で、雲のような白い模様がある個体も多い。ヒレは青緑色。
吻(ふん)は突出しており、先端に小さな口がある。後頭部に一本の大きな棘があるが、これは第一背ビレであり、尾に近いものは第二背ビレとなる。
雌のほうが雄よりも体高があり、吻の後部の背側が雄は盛り上がっていて、雌は直線的になっている。
水深50~150mほどの深場に棲息し、海底〜中層の間で群れている。
食性は雑食で、小さな口に並んだ丈夫な歯で、夏は甲殻類や貝類、底棲生物など、冬は海藻を主に食べる。
産卵期は、4~7月頃。複数回の産卵をし、沈性粘着卵を一度に7万粒ほど産む。孵化後、稚魚は流れ藻について生活し、成長するにつれて深場へ移る。
体長は1年で全長15~18㎝、2年で約20~22㎝、3年で25㎝ほどに成長し、最大では30㎝ほどにまで成長する。
「ハギ」という名は、カワハギと同様、調理の際に皮を剥ぐ必要があること、また一気にたやすく皮が剥げることが由来となっている。そして、カワハギと比べると細長い顔をしており、それが馬の顔を連想させることから馬面=ウマヅラのハギということで、この名が付いた。同様の理由で、ウマ、オウマサン、ウマハゲなどと呼ぶ地方もある。また、ナガハゲ、ナガコベなどという顔の長さにちなんだ呼び名もある。
そのほかの呼び名としては、ツノギは、後頭部の角のような棘が由来。バクチ、バグチは、カワハギとの混称になるが、身ぐるみ剥がれて裸になることから付いた名となっている。
カワハギ釣りが盛んな関東エリアでは外道扱いされることもあるウマヅラハギだが、瀬戸内海エリアをはじめとする西日本では専用の遊漁船も出ているほどの人気ターゲットである。
シーズン的には夏~秋が釣りやすく、おいしいキモが肥大する冬の低水温時の釣りも人気。
【船釣り】
瀬戸内での沖釣りは関東のカワハギ釣りのスタイルと共通しているが、胴付き仕掛けの下端にコマセカゴをセットして、アミエビの寄せエサを効かせながら釣るのが特徴だ。オモリのサイズは釣り場に合わせよう。
カワハギ同様クセがなく、弾力があり甘みのある白身は、さまざまな料理方法でおいしくいただける。関東での評価が低いのは、カワハギよりも脂肪分が低く、そのためカワハギよりあっさりとした味わいであるためと、時間が経つと臭みが出やすいためであるようだ。臭みの防止には、釣れたらすぐに活き締めをして、できれば肝以外の内臓を抜いてから冷えたクーラーボックスで持ち帰ればよい。
秋~冬の旬の時期には肝が肥大し、身にも脂がのり、物足りなさを感じることはないだろう。肝はカワハギ同様、包丁で叩いて刺身に付け合わせたり、さっと湯通ししてポン酢などで食べると美味。
もちろん身の部分も、薄造りの刺身、煮付け、鍋物、唐揚げ、ムニエル、干物(写真)などでおいしくいただける。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)