●天ぷらやラーメンの具にも最高!
海で手軽に楽しめる遊びのひとつが、海の幸の収穫。とはいっても、狙いは海の中ではなく、陸上である浜辺。ここに自生している「海菜」摘みなら漁業権に抵触しないし、親子で手軽に楽しめるのだ。
海菜というのは、ツルナやアシタバなどの海辺に生える食べられる植物のこと。タラの芽などの山菜と違ってあまり知られていないが、これが意外とバカにできないおいしさ。天ぷらを始めとして、炒め物、汁物、ラーメンの具などでぜひ味わってみたい。
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海で手軽に楽しめる遊びのひとつが、海の幸の収穫。とはいっても、狙いは海の中ではなく、陸上である浜辺。ここに自生している「海菜」摘みなら漁業権に抵触しないし、親子で手軽に楽しめるのだ。
海菜というのは、ツルナやアシタバなどの海辺に生える食べられる植物のこと。タラの芽などの山菜と違ってあまり知られていないが、これが意外とバカにできないおいしさ。天ぷらを始めとして、炒め物、汁物、ラーメンの具などでぜひ味わってみたい。
海菜はどこの海岸にも自生しているので、比較的簡単に見つけることができる。山菜採りでは、ハードな山歩きやヤブ漕ぎを強いられることもあるが、海菜摘みなら散歩気分でのんびり楽しめるのだ。また、山菜に比べて食べられる期間が長い種類が多いことも特徴。基本的には春に摘むのが茎や葉が軟らかくてベストだが、ツルナなどはどこの海岸にも生えているし、春から秋、場所によっては一年中採って食べることが可能だ。
そのうえ海菜は、栄養面でも優れているものが多い。たとえば、健康野菜としても知られているアシタバは、カロチン、ビタミンB群、鉄分、カリウムなどが豊富で、血圧降下、整腸、貧血予防などさまざまな効果があるそうだ。また、ハマダイコンの根は下ろしてソバの薬味に使えるが、こちらは胸やけや胃弱、便秘などに薬効がある。ほかにも、薬草として活用されている海菜はまだまだたくさんあるのだ。
【オカヒジキ】
海藻のヒジキに似ているのが、名前の由来。若いうちの茎葉を収穫してゆで、おひたしやサラダなどにして食べる。コリコリした食感が最高!
【ツルナ】
“海菜の王様”といってもいいほどクセがなく、おいしく食べられる。おひたしや天ぷらもオススメだが、味噌汁やラーメンの具にすると美味
【アシタバ】
伊豆七島の八丈島原産のセリ科の植物で、茎や葉を折ると黄色い汁が出てくるのが特徴。多少、アクがあるが、若葉を天ぷらにするとおいしい
【ハマカンゾウ】
花のない時期はわかりにくいので、花のあるうちに生育する場所を覚えておくとよい。若い茎葉をゆでて酢味噌で和えたものは、なかなかオツな味。花は天ぷらで食べられる
【ハマダイコン】
野生化したダイコンの一種といわれ、4月頃、薄紫の可憐な花を咲かせる。若葉や花茎、つぼみなどは炒め物で、根はすり下ろしてソバの薬味にオススメ!
【ツワブキ】
庭に植えられていることも多いが、本来は海辺の植物。普通のフキよりも葉に厚みがあってつやがある。下ゆでした茎を、煮物、炒め物などに
これらの海菜はどこに生えているかというと、大きくふたつに分類できる。ひとつは土のある浜辺に生えているもの。ツルナやアシタバ、ハマカンゾウ、ツワブキ、ハマダイコンなどがこれにあたる。どれも群生していることが多いので見つけやすい。もうひとつは砂地に生えるもの。オカヒジキ、ハマボウフウなどは、砂浜にポツンと単独で生えていることが多い。
海菜は砂地や波風の当たる悪条件下で育っているので、どれも生命力が旺盛で、復元する力も強い。しかし、あるものすべてを採っていくようなことは避けよう。根や葉や茎を残せば、すぐに新しい芽が出てふたたび海菜採りを楽しめる。必要な分だけを先端から指やハサミで少しずつ採っていくことを心がけたい。
山菜はアクの強いものが多く、ゆでてさらしたり、重曹などでアク抜きをしたりと結構面倒だ。その点、海菜はそれほどアクが強くなく、下ごしらえの手間が少ないのがうれしい。浜辺で野外料理を楽しむときも、そのへんに生えているツルナなどを適当に摘んで、即、料理の素材として使える。たとえば、焼きソバに海菜を入れて炒めると鮮やかな海菜の緑が食欲をそそり、食べれば海菜のシャキッとした歯ごたえを楽しめるのだ!
【天ぷら】
春、いろいろな海菜が摘める時期になると、海もポカポカ陽気に。こんなときは、カセットコンロと鍋を浜辺に持ち出して、天ぷらパーティを楽しもう。アシタバやツルナ、ハマカンゾウなど、あらゆる海菜が天ぷらでおいしく食べられる。釣れた魚も一緒に揚げてみよう!
【キャラブキ】
ツワブキの茎を集めたら、ゆでて皮をむいて下ごしらえをする。食べやすい長さに切ってから、醤油、酒、みりんで煮込めばできあがり。
【味噌汁】
素材はツルナがオススメ。色の鮮やかさを生かしたいので、ダシ汁の中でサッと火を通す程度にして、味噌で味付けしていただこう!
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)