イシヤキイモヅクリ【石焼きイモ作り】

イシヤキイモヅクリ【石焼きイモ作り】
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釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

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特徴

●海岸で焚き火を楽しむ

住宅街の庭で、焚き火をする風景を見なくなって久しい。ゴミの処理に関する法律が厳しくなり、軽微な焚き火やキャンプファイヤーなどを除いて、廃棄物の焼却は禁止されてしまったためだ。もちろん、有害物質を燃やすのはナンセンスだが、落ち葉の焚き火も迷惑だと感じる人が増えていることも時代の流れなのだろう。
しかし、それでも焚き火を楽しみたいというなら、釣りに出かけた海岸で楽しむ手がある。もちろん、海岸といえどもやたらと焚き火が楽しめるわけではなく、ここでも海岸法や自然公園法、自治体の条例などによって焚き火が規制されているエリアがある。また、人家に隣接した場所、延焼の危険があるエリア、私有地などでの焚き火も厳禁であることを前提として楽しみたい。

●浜辺に繰り出して、にわか焼きイモ屋になろう!

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ところで、冬の海岸で焚き火をしてどうする? 釣りで凍えた体を温め、燃える火をぼんやりと眺めているのもいいが、どうせならプラスアルファーの楽しみも盛り込みたい。で、家族や仲間同士で手軽に楽しめるのが〝石焼きイモ〟というわけだ。どうして、普通の焼きイモじゃないのか? その答えは海岸にある。そう、海岸には無数の小石が転がっているのだ。これを利用しない手はないのである。というわけで、まずは石選びだ。

●ドン深の海岸が狙い目だ

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町で見かける石焼きイモ屋が使っている石は、堅くて割れにくい戸室石や大磯石と呼ばれるもの。といっても、とくに大磯石は珍しいものではなく、園芸ショップでも普通に売られている玉石のことだ。もともと、神奈川県の大磯海岸に多く見られるのでこの名があるのだが、実際には、全国の海岸にこの類の石は転がっている。
海岸には、細かい砂、粗い砂、砂利などさまざまなタイプの砂浜があるが、これはその地形が遠浅かドン深かによって違ってくる。石焼きイモに適した大磯石などは、ドン深の海岸に流れ着きやすいことを覚えておくと良いだろう。

●焼きイモに適した石の選び方

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海岸には砂岩や泥岩なども多いが、これらは熱するとすぐにパカッと割れてしまって用を足さない。石焼きイモに使うには、熱に強い火成岩系の石がよい。表面がツルツルで光沢のあるものならさらにベストだ。
石のサイズは、直径1〜2㎝ほどの小さいもののほうがムラなく焼き上がるが、集めるのが面倒なら写真のような多少大きめの石でもかまわない。

●ジャガイモだって、おいしく焼き上がるのだ

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石を集めたら焚き火を起こし、鍋を火に掛けて石を焼く。鍋は厚手の鉄鍋を使うのがベターだが、厚手のアルミ鍋なども使えるだろう。ただし、テフロン系の鍋は空焚きができないので不可。なお、焚き火の代わりに七輪などを活用すれば、前述の法律的なハードルをクリアーでき、いろいろな場所で焼きイモを楽しめる。
さて、しばらくして完全に焼け石状態になったところで、いよいよイモを火バサミを使って埋め込んでいく。焼け石は非常に熱くなっているので、ヤケドには十分注意しよう。ちなみに、石焼きイモに使うイモの品種は、ベニアヅマや金時、ベニコマチ、ムラサキイモなどがオススメ。ジャガイモもおいしく焼けるので、いろいろと試してみよう。
イモを投入してフタをしたら、しばし待つこと約一時間。イモに竹串を突き刺して、抵抗なく串が通れば完成だ。見た目ではあんまり焦げ色がついていなくても、イモの中には完全に火が通り、甘い香りがあたりに漂う。ひとくち食べるごとに、思わず笑みがこぼれてしまう。石焼きイモでは、熱せられた石の遠赤外線効果によって、本当においしい甘いイモが焼き上がる。陽気のいい冬の海で、たまにはこんな遊びもいかがだろうか。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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