●潮干狩り場なら収穫も確実!
海岸で定番の遊びといえば、「潮干狩り」。これが楽しめるのは内湾の干潟などだが、確実に収穫を期待するなら有料の潮干狩り場を利用するのがいいだろう。潮干狩り場には、着替え場や洗い場、軽食コーナーなどもあるので、家族やカップルで利用するにも便利。問い合わせれば、潮干狩りに適した日時も教えてくれるし、ホームページ上で紹介しているところもある。
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海岸で定番の遊びといえば、「潮干狩り」。これが楽しめるのは内湾の干潟などだが、確実に収穫を期待するなら有料の潮干狩り場を利用するのがいいだろう。潮干狩り場には、着替え場や洗い場、軽食コーナーなどもあるので、家族やカップルで利用するにも便利。問い合わせれば、潮干狩りに適した日時も教えてくれるし、ホームページ上で紹介しているところもある。
【アサリの基礎知識】
潮干狩りで採れる貝の代表格が「アサリ」。これはマルスダレガイ科の二枚貝で、北海道から九州まで棲息しているポピュラーな貝だ。スーパーや鮮魚店などでは年間を通じて買えるが、味がおいしい旬は春から夏にかけて。
【潮干狩りができる時間帯】
ところで、潮干狩りというと春のイメージがある。これは、アサリの食味が旬を迎える時期であり、しかも潮まわりの関係で、春は昼間に大きく潮が引いて潮干狩りがしやすくなるためだ(逆に、秋〜冬は夜に大きく潮が引く)。とくに狙い目になるのは、干潮時の潮位がいちだんと低くなる〝大潮から中潮にかけて〟の期間。この潮まわりは2週間ごとに巡ってくるので、ここに休日が重なったときこそ、潮干狩りのチャンスというわけだ。
上表は、一日の潮位の動き(緑色の曲線)を示した例。この場合、干潮前後の9時頃から14時頃までが潮干狩りのチャンスだ。干潮の時刻はネットの情報や潮見表(釣具店で買える)で知ることができるので参考にしたい。潮まわりがわからない人は、潮干狩り場に問い合わせてみるのが確実だ。
【服装】
ツバのある帽子、マリン用シューズ(ビーサンは砂が指や足の裏に入って歩きにくい)、濡れても良い服装が基本。5月くらいになると日差しがかなりきついので、長袖の上着や日焼け止めも欲しい。また、風が冷たいときにはウインドブレーカーがあると快適だ。潮干狩り後の着替えの用意も忘れずに!
【クマデ】
鉄製の潮干狩り用のものを。シーズンになると、ホームセンターなどで300円程度で買える。有料の潮干狩り場なら現地でも購入可能だ。
【網袋、バケツ】
採った貝を入れるためのもので、これらもホームセンターなどで購入できる。有料の潮干狩り場では、タダでもらえることが多い
【クーラーボックス】
採取したアサリを鮮度良く持ち帰るには、ぜひ、クーラーボックスを用意したい(コンビニ等で売っている発泡材のボックスでもよい)。当然、保冷剤も忘れずに(水を凍らせたペットボトルなどでもOK)。また、アサリと保冷剤の間に敷くための新聞紙も用意していこう!
【ペットボトル】
アサリの砂抜きをするために使う海水を持ち帰るために。2リットル程度のもので十分。
【地形の変化が狙い目】
潮干狩りは子供でも楽しめるのが魅力で、ちょっとしたコツを知っていれば収穫量も倍増する。その基本が、アサリが集まりやすい場所を狙うこと。アサリは、エサのプランクトンが集まりやすい地形の変化、すなわち起伏のある部分や溝などがある場所を好む。潮干狩り場をよく観察してみると、波の作用で砂地にデコボコができているので、その盛り上がった傾斜部分を重点的に掘ってみるといいだろう。
【アサリの「目」を探そう!】
もうひとつのコツが、アサリが呼吸する小さな穴(目)が集中している筋を探すこと。無数に見える小さな穴がアサリの巣で、ここから入水管と吸水管を突き出して呼吸している。物音に驚いてすぐに管を引っ込めてしまうので、穴がいっぱいあったらクマデで砂ごと掘り返してみる。ひとつ発見したら、そこを集中的に掘ってみよう
【水ぎわを掘る!】
アサリをスピーディに掘っていくには、砂地が露出している場所と水面との境目(水ぎわ)を攻めるのがコツ。多少、水の残っている場所なら、素手やクマデで砂を掘り進むだけで、比重の関係で勝手にアサリが表面に浮かび上がってくるのだ。掘る深さは10㎝までにして、広く浅く攻めていくと、より効率よく採取できる。
潮干狩りをしているとアサリ以外の貝が出てくることがあるが、なかでも一番アサリと似ていて見分けにくいのがシオフキ。表面がザラザラしているのがアサリ(左)で、白っぽくてツルツルしているのがシオフキ(右)だ。シオフキは砂抜きしにくいので持ち帰る人は少ないが、うまく砂抜きできれば味はおいしい。
採取したアサリは、両手で貝と貝をこすり合わせるようにしてきれいに洗う。このとき、海水ではなく真水(水道水)で洗うと、食中毒の原因になる雑菌も落とすことができる。ただし、アサリを真水に浸けておくと死んでしまうので、最後によく水を切ることが大切。洗ったアサリを再び網袋やザルなどに入れてクーラーに収納し、その上に濡らした新聞紙、保冷剤を置けばOK。また、アサリの砂出しに使う海水は現地のものがいいので、ペットボトルに入れて持ち帰りたい。
持ち帰ったアサリは、ザルとボウルを二重にしたものにきれいな海水ともに入れ、2〜3時間砂出しをする。海水がなければ、塩水(塩分3%程度)を使ってもよいが、塩は精製塩よりも自然塩を使うほうがアサリが砂を吐きやすい。また、新聞紙などでフタをしてやると、周囲がびしょびしょにならないし、アサリも暗いほうが盛んに呼吸して砂を出す。また、砂抜きしたアサリをしばらく空気中で放置すると、コハク酸というウマミ成分が増しておいしくなることも覚えておこう。
潮干狩り場でのアサリ掘りに満足できない人は、天然アサリが採れる場所を探してみよう。狙ってみたいのは、小磯やゴロタ場、河口など。とくに、真水が染み出している場所は、普通の砂浜の海岸よりもアサリが棲息している可能性が高い。ただし、どこの場所でも漁業権の規制をチェックすることを忘れずに。当然、小さな貝まで根こそぎ採ってしまうこと、必要以上の貝を採っていくことも絶対にやめよう。来年、またそれ以降も潮干狩りを楽しむためには、ひとりひとりの心がけが大切なのだ。
潮干狩りは貝を採るのも楽しいが、それを料理して味わえるのもうれしい。酒蒸しや汁物といった定番レシピのほか、写真のようにワイルドにフライパンで焼くだけでも最高においしいのだ!
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)