
釣って楽しく、食べておいしい魚といえば、やっぱり「ウナギ」は絶対に外せない。
ウナギ釣りの魅力はいろいろあるが、まず、全国どこでも身近な河川で楽しめることが挙げられる。また、ウナギ釣りは手軽な仕掛けや装備で楽しめることも、とくに初心者にはうれしい。そして、何と言ってもその食味の素晴らしさだ。店で食べるウナギは大半が養殖モノだが、自分で釣り上げた天然ウナギの味は別格。今シーズンは、ぜひ天然ウナギを自分で釣って、その極上の食味を味わってみてはいかがだろう。
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釣って楽しく、食べておいしい魚といえば、やっぱり「ウナギ」は絶対に外せない。
ウナギ釣りの魅力はいろいろあるが、まず、全国どこでも身近な河川で楽しめることが挙げられる。また、ウナギ釣りは手軽な仕掛けや装備で楽しめることも、とくに初心者にはうれしい。そして、何と言ってもその食味の素晴らしさだ。店で食べるウナギは大半が養殖モノだが、自分で釣り上げた天然ウナギの味は別格。今シーズンは、ぜひ天然ウナギを自分で釣って、その極上の食味を味わってみてはいかがだろう。
ウナギは海で産卵、孵化した稚魚が川を遡り、成熟した後に再び産卵のために海に下るのが一般的だ。しかし、サケやマス類と違って、ウナギが遡上する河川の条件はかなりアバウト。「水さえあればどこへでも」というのが実際のところだ。
たとえば、東京湾にも無数の河川が注いでいるが、そのすべての川にウナギが遡上すると考えられている。とくに狙ってみたいのは、エサとなる小魚や甲殻類などが多く、ウナギが身を隠せる場所が点在している河川。逆に、この条件さえクリアしていれば、都市部の河川でも十分にウナギ釣りは楽しめる。なお、ウナギに漁業権が設定されている河川では、遊漁証(入漁券)が必要となるので事前に漁協で確認しておこう。
シーズンは、4月頃からスタートして晩秋まで楽しむことが可能。とくに、ウナギの食欲が活発になる梅雨期、そして産卵のために海に下る9〜10月頃は、まとまった群れで行動するので爆釣のチャンスも多くなる。
ウナギ釣りのスタイルは、十人十色。主流は広範囲を狙える投げ釣りだが、後述するようにウナギは足元のポイントにいることも多い。そこで注目したいのが、竿を使わない“チョイ釣り”。この仕掛けのシステムは、タコ上げなどで使う糸巻きや板切れ、ペットボトルなどに長さ20mほどのタコ糸を収納して、糸の先端にハリとオモリをセットするだけだ。
【チョイ投げの仕掛け】
ミチイトは視認性に優れるタコイト(太さは8番程度)が便利だ。適度な伸びがあるので、大型のウナギが釣れたときにバレにくいこともメリット。タコ糸の先端には、10〜20号程度のオモリを結ぶ。オモリは重めのほうがウナギがハリ掛かりしたときに暴れにくく、ハリスに絡みつかれることも少なくなる。
【使用するハリ】
ハリはウナギバリの12〜15号を使うのが一般的。ただし、ウナギバリは地域によっては釣具店で入手しにくいのが難点だ。そこで試してみたいのが、どこの釣具店でも普通に売っている「丸セイゴバリ」。フトコロが広いハリなのでウナギが吸い込みにくいと思えるが、むしろハリ掛かりがよくなってバラシも激減する。サイズは12〜15号でOKだ。
仕掛けにハリをセットするときは、オモリの環にハリスをエイトノットループ(*リンク)で取り付けるのが簡単。ハリスの長さは20センチ前後を目安にしよう。
ウナギ釣りは日没後がチャンスタイムになるので、夜釣りに備えてライト類は必需品。ウナギが釣れたときにハリスをカットするハサミ、ウナギを収納するためのクーラーボックス、手ふきタオル、エサ箱、夏は虫よけスプレーも用意したい。
【ドバミミズ】
ウナギ釣りの定番エサ。雑木林周辺の落ち葉が積もった側溝を探してみれば、案外イージーに採取できる。夕方の時合いに仕掛けを3本出すとして、8〜10匹も採れば十分だ。ハチマキ部分にハリを刺し通して装餌する。
【アオイソメ】
河口付近のポイントで有効なエサ。釣具店での入手も容易なのがメリットだ。ただし、雑魚に食いちぎられやすいので、2〜3匹をハリに房掛けにするとよい。
ウナギは河口域から渓流まで生息しており、日中は捨て石や消波ブロック、アシ原などの障害物の陰に潜んでいる。当然、こうした場所が定番のポイントなのだが、なかでも釣りやすいポイントは多くの河川で普通に見られる「護岸のキワ」。とくに河川のカーブ外側の護岸に流れがぶつかっているスポットは、川底が掘れて比較的水深もあるので、ウナギのエサとなる小魚やエビのストックが多く、上流から流れてきたエサも溜まりやすい。ウナギたちにとっては、絶好の通り道になっているのだ。
また、ウナギが釣れる大切な要素として、「濁り」がある。これは、もちろん生活排水などの濁りではなく、降雨による自然の濁り。ウナギは川に濁りが入ると上流から大量のエサが流れてくるのを知っているのか、急速に活性が高くなるのだ。ただし、赤茶けた激濁り状態はNG。適度なササ濁り状態のときがベストと覚えておこう。また、増水時の釣りは危険が伴うため、絶対に無理しないように!
流れに濁りがあれば日中でもウナギは釣れるが、通常は夕方から2時間ほどがチャンスになる。とくに、日没からの30分間はウナギも積極的にエサを探し回るので、バタバタと入れ食いになるケースが多い。もたもたして時合いを逃してしまうとアタリすらなくなってしまうことも珍しくないので、この時間帯は集中して釣ることを心掛けよう。
ウナギ釣りの最大のコツは、「ウナギの通り道」に仕掛けを投入すること。といっても、ウナギはエサが発する強烈な匂いで寄ってくるので、それほどシビアになる必要もない。むしろ、障害物まわりをタイトに狙い過ぎると根掛かりするので、多少離れたオープンエリアを狙うのが無難だ。
仕掛けの投入は、あらかじめ必要なラインを繰り出しておき、オモリの重さを利用してポイントに軽く放り込むだけでOK。護岸のキワ狙いなら、足元に落としこむだけでもよい。投入後は、タコ糸を緩めにして地面に置いておくと、ウナギが掛かったときのアタリも明確に分かる。
仕掛けを投入したら、あとはアタリを待つだけ。ウナギは食い逃げをしないので、糸が引き込まれたらじっくりと食わせてから仕掛けをたぐってくればよい。大物のウナギになると結構な引きになるので、相手の動きに応じて糸を出し入れできればバッチリだ。
釣れたウナギはハリに掛かった状態でクーラーボックスに入れてフタを閉め、ハリスをカットして収納すれば逃げられることがない。クーラーボックスに少量の水を入れておけば、翌日まで元気にしている。逆に、水を多く入れてしまうと呼吸困難で衰弱してしまうので注意したい。
活かして持ち帰ったウナギは、自分でさばければベストだが、できなければウナギ屋で事情を説明してさばいてもらうのも方法だ。
自分でさばく場合は、あらかじめウナギを氷水や冷蔵庫のチルド室で冬眠状態にしておくと、暴れることがなく作業しやすい。包丁は小型の出刃包丁を用意。ウナギを裂いていくときは、まな板に千枚通しやクギなどで頭を固定し、少しずつ身を切り剥がす要領で包丁を動かしていく方法がやりやすいだろう。
あとは、蒲焼きでも天ぷらでもお好みの料理で味わってみたい。
*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)