ほかのサケの仲間同様に、生まれた川に遡上して産卵するが、カラフトマスは母川回帰性が弱く、サケがほぼ100%の確率で母川回帰するのに対し、カラフトマスは60%程度である。違う川に遡上する個体も多いことがわかっている。
遡上時期は河川によっても異なるが、通常は7月中旬頃から始まる。産卵床はサケの産卵場所よりも流れが速い場所に作られることが多く、サケのように地下水が湧き出ている場所である必要はない。よって、サケの産卵場所とは棲み分けがされている。一ヶ所に1,000~1,500粒の卵を産み落とし、産卵後は寿命を終える。
受精からの積算水温が400~500℃になると孵化し、4~5月頃になって体長3㎝ほどの稚魚になると川底から抜け出して泳ぎ始める。浮上後はあまりエサを捕食せずに川を下り、一晩から数日で降海する。
海に入ると、オキアミやプランクトンなどを中心に活発にエサを取り始める。成長とともに沖合へ移動しながら小魚なども捕食し、北海道沿岸で生まれたものは、その年の秋までオホーツク海全体を生活の場とする。冬にかけては、北大西洋の西部水域に回遊して翌年春までを過ごし、その後、母川に向かって回帰する。その途上、急速に成長しつつ成熟し、夏には再び川に遡上する。
この2年間のサイクルから、前後の年生まれの集団同士が交じり合うことはなく、好不漁や遡上の時期などが、隔年で変動を示すことがわかっている。北海道では遡上時期が1年ごとに1ヶ月もの違いがあり、西暦の偶数年では早く、奇数年では遅い。