カワハギのミャク釣り(入門者向け)

カワハギのミャク釣り(入門者向け)
  • 分 類フグ目カワハギ科カワハギ属
  • 学 名Stephanolepis cirrhifer
  • 英 名Thread-sail filefish
  • 別 名ハゲ、ハギ、バクチ

釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

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釣り方

船釣りのターゲット!初心者にも入門しやすい カワハギのノベ竿のミャク釣り

船釣りのターゲットとして非常に人気の高いカワハギは、もちろん岸からも狙うことができる。一般的には投げ釣りやヘチ釣りで狙うことが多いが、ここではもっともシンプルで初心者にも入門しやすい 「ノベ竿のミャク釣り」を紹介していこう。

ノベ竿カワハギが楽しめるフィールドとシーズン

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カワハギは岩礁や海藻混じりの砂地を好むため、海底がこうした環境にある堤防が狙い目となる。また、足場の良い小磯などもノベ竿カワハギの定番釣り場だ。
ほぼ一年中狙うことができるが、有望なのは春と秋。とくに産卵期を控えた4〜6月は、ノベ竿を限界まで引き絞る大物も飛び出す。秋は数釣りのシーズンで、多彩なゲストも狙える。ファミリーフィッシングでも飽きずに楽しめるだろう。

カワハギ釣りに使用するノベ竿

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全長4.5〜6m程度の渓流竿や万能竿を使用する。調子(竿の硬さのこと)は硬調〜超硬と表示されているタイプで、穂先に張りのある竿ならアワセが利きやすい。つねに竿を手で持って誘う釣りなので、できるだけ軽量な竿のほうが快適だ。

ノベ竿カワハギの仕掛け

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ミチイトの末端にハリス止めを結び、その上にオモリ、その下にハリス付きのハリをセットするだけの超シンプル仕掛け。作り方が簡単で、根掛かりも少ないのが特徴だ。ハリは一本でもいいが、カワハギはエサ取りが上手なので二本にしておくとアタリのチャンスを長引かせることができる。

仕掛け作りのパーツ類

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【オモリ】 ゴム張りのガン玉やアユ釣り用のアユ玉、船のカワハギ釣り用のゴム張りガン玉などを使用する。いずれも、ミチイトへの脱着が簡単なので、水深や流れの強さに応じて素早く交換できるのがメリットだ。サイズは0.5〜2号を用意しよう。

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【ハリ】 市販のハリス付きのカワハギ用のハリを使うのが便利。ただし、市販品は船釣りを想定しているため、ハリスが太いのが難点。できればハリをバラで購入して、自分でハリス(フロロカーボンの1〜1.5号が目安)を結ぶのが理想だ。

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【ハリス止め】 ミチイトとハリスとの結節は、小型の自動ハリス止めを使うと交換が素早くできる。ハリ先が甘くなったと感じたら、どんどん交換していこう。

用意したい道具類

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【エサ箱】 ノベ竿カワハギは、積極的にポイントを釣り歩くスタイルなので、首から下げるか腰に装着するタイプが便利。中に仕切りがあれば、エサ別に収納できる。

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【ビク】 釣り歩きのスタイルでは、腰ビクに魚を収納するとよい。気温が高いときには、写真のようなクーラータイプのビクに小型の保冷剤を入れておこう。

エサの種類とハリの付け方

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【アオイソメ】入手が簡単で食いもいいアオイソメが定番のエサ。ハリにつけるときは、写真のようにハリに刺し通してUの字にして、タラシは短くするのが基本だ。

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【イカ短】 イカの身を15×5㎜程度のサイズに小さくカットした「イカ短」は、高活性時のカワハギのいいエサになる。写真のように食紅で染めたり、ウマミ調味料をまぶす人もいる。ハリにつけるときは、イソメ同様に通し刺しにする。

カワハギが釣れるポイント

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前述したように、ノベ竿のカワハギ釣りは堤防や小磯などで楽しめるが、条件的には足元が岩礁帯か根や海藻が絡んだ砂地帯で、比較的潮通しのいいことが大切。また、ノベ竿の射程範囲を考えると、水深は3〜5m程度が理想的だ。

実際の釣り方

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【海底で誘いを入れる】
この釣りは非常にシンプルで、仕掛けを竿下に投入して確実に着底させることから始まる。仕掛けが着底したら、すぐに1mほど竿を上下させて付けエサをカワハギにアピールし、再度オモリを着底させた状態でアタリを待つ。狙ったポイントにカワハギの群れがいれば、着底後すぐにでも前アタリが出るはずだ。
着底後にアタリが出ない場合は、竿を軽く上下させて誘いを入れていく。誘いの幅は30〜50㎝ほど、速度は2〜3秒で1往復が目安だ。ただし、その日の状況によって、もっと速い誘いが有効になるケースもあるので、適宜、誘いのパターンを変えてアタリを出していこう。

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【アタリのパターン】
ノベ竿釣りの最大のメリットは、沖釣りと比べて圧倒的に軽いオモリと柔らかな竿を使えること。また、付けエサがつねに海底にあるのでカワハギも違和感なくエサを食ってくれる。このため、とくにカワハギの活性が高いときには、最初に竿先にコツコツした前触れがあった後、徐々に「ガッガガ!」と明確なアタリが出る。これはカワハギがエサをくわえて反転した合図なので、このタイミングで確実に竿を立てればハリ掛かりする。
なかなか明確なアタリが出ない時でも、ノベ竿の釣りではカワハギがしばらくエサを離さないため、竿先が重くなるような前触れを感じたら竿先をスッと持ち上げるようにしてハリを掛けに行ってみよう。

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【アワセ〜取り込みの方法】
うまくハリ掛かりしたら、竿の角度をキープして最初の引きに耐える。カワハギは根に潜る魚ではないが、良型のカワハギは横走りすることもあるので、できるだけ早く海底から引き離してラインの根ズレを防ぎたい。魚が浮上してきたら、そのまま引き抜けばよいが、大型のカワハギは無理しないで玉網で取り込むとよい。


分類・分布

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フグ目カワハギ科カワハギ属の海水魚で、仲間にウマヅラハギやウスバハギなどがいる。
本種は、本州から九州までの各地に分布。北海道や南西諸島にも棲息するとしている図鑑もあるが、釣り場で見かけることはほとんどなく、ときどき北海道で釣れるのはウマヅラハギであることが多い。


特徴

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側扁した菱形に近い体形で、ザラザラとした硬く細かいウロコと丈夫な皮で覆われている。背ビレの第一条と腹ビレは、太く短い棘状になっており、雄は背ビレの第二軟条が糸状に長く延びているので、雌と区別できる。
体色は灰褐色または黄褐色で、体側の全面に暗褐色の縦班が不規則に散らばっている。ただし、体色は周囲の環境によって大きく左右され、体側の斑点も外敵などに驚いたりすると不鮮明になる(写真)。
口は小さく、中には頑丈な歯が並んでいる。このオチョボ口で少しずつエサをついばむように捕食するため、釣り人には魚信(アタリ)がなかなか伝わりにくい。
成魚の全長は20~25㎝ほど。30㎝を超えれば大型といえる。
ウマヅラハギやウスバハギは本種に比べて体形が細長く、前者の体長は全長30㎝ほど、後者は50㎝ほどになる。


性質

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水深50mまでの砂底と岩礁が混じるような環境に棲息している。
産卵期は5~8月で、稚魚は沿岸部の流れ藻に着いて生活している。体長10㎝前後になると、小さな群れをつくって遊泳する。成長に伴って次第に深場へ移動し、底生動物のゴカイ類や小型の甲殻類、貝類、ウニ、海藻などをエサとする。
秋になると越冬のために荒食いをするが、その栄養を脂肪に変えて肝臓に蓄えるため、冬のカワハギのキモは肥大する。


文化・歴史

調理の際に皮を剥ぐ必要があり、また簡単に剥げることがカワハギの名の由来となっている。皮を剥いだ姿からの地方名も多く、ハゲ、マルハゲ、カワムキ(関西)、身ぐるみ剥いで裸になることからバクチ、バクチコキなどという名前もある。
英語でもハギ類は、レザージャケット(革の上着)などと呼ばれている。


料理

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煮付け

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刺身とキモ

調理の際に皮を剥ぐ必要があり、また簡単に剥げることがカワハギの名の由来となっている。皮を剥いだ姿からの地方名も多く、ハゲ、マルハゲ、カワムキ(関西)、身ぐるみ剥いで裸になることからバクチ、バクチコキなどという名前もある。
英語でもハギ類は、レザージャケット(革の上着)などと呼ばれている。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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