ゴマフエダイ【胡麻笛鯛】

ゴマフエダイ【胡麻笛鯛】 イラスト:小倉 隆典
  • 分 類スズキ目フエダイ科フエダイ属
  • 学 名Lutjanus argentimaculatus
  • 英 名Mangrove red snapper
  • 別 名アカシビ、セボラ、カースビー

釣りシーズン ベストシーズン 釣れる

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

分類・分布

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フエダイ科は中型~大型の肉食魚のグループで、熱帯の沿岸域を中心に分布し、17属108種に分類されている。同じ属には、ゴマフエダイのほか、フエダイやバラフエダイなどの68種が含まれている。
本種は、アフリカ東岸からオーストラリア北岸までインド太平洋の熱帯域に広く分布している。日本の沿岸では本州中部以南に分布するが、多く見られるのは九州南部や沖縄などの南西諸島である。


特徴

成魚は全長70㎝ほどになる大型のフエダイ。体高は高く側扁し、体形はいわゆるタイ型。口が大きくやや突出しており、両アゴに犬歯をもつ。
体色は緑褐色で、ヒレや腹部は赤みを帯びている。頬に水色の縦線が1~2本入るが、成長とともに消えることもある。若魚は親とは違った色合いで、濃い緑褐色に白っぽい横縞が6~14本入り、背ビレの前半と腹ビレの付け根は鮮やかなオレンジ色をしている。ウロコの中心に黒っぽい点があるため、体側は規則正しく黒点が並んでいるように見える。この点が、ほかのフエダイの仲間と見分けるポイントとなる。
シガテラ毒で知られるバラフエダイに似ているが、本種の尾ビレ後端は直線状に近いのに対して、バラフエダイはV字に切り込んでいることで区別できる。


性質

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沿岸域の岩礁、サンゴ礁に棲息している。全長50㎝ほどまでの個体は河口や汽水域にも回遊し、高水温時になると体長20㎝程度までの幼魚は純淡水域まで回遊してくる。汽水域に入るフエダイ類は南西諸島では、オキフエダイ、ナミフエダイなどほかにもいるが、純淡水域まで入ってくるものは珍しい。
数匹程度の小さな群れを作って生活する。食性は肉食で、小魚、多毛類、頭足類、甲殻類、水に落ちた昆虫などを捕食する。


文化・歴史

フエダイという名は、口が前方に出ていて口笛を吹いているようであるところに由来する。ウロコの黒い点がゴマを散らしたように見えるさまからゴマフエダイと名付けられ、漢字でも「胡麻笛鯛」と書く。
地方名としては、アカシビ(宮崎県)、セボラ(鹿児島県)、カースビー(沖縄県)、アカシュビ、アカウオ、アオマツなど。
英名のMangrove red snapper は、河口部のマングローブ林に棲息する習性にちなんだものだ。南西諸島などの釣り人の間では、「マングローブジャック」という愛称で呼ばれている。


釣り方

九州南部では投げ釣りで狙っているほか、沖縄などの南西諸島では海岸やマングローブ帯でのルアーフィッシングも人気。西表島では、河口でのカヤックフィッシングも人気だ。

【ルアーフィッシング】

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ゴマフエダイは貪欲なフィッシュイーターなので、ルアーにも果敢にアタックしてくる。とくに、ポッパーやペンシルベイトを使ったトップゲーム(水面で誘うタイプのルアーを使った釣り)はエキサイティングだ。
タックル(竿、リール、糸を含む道具一式)は、バス用かライトなシーバス用など、取りまわしのいい長さ6フィート前後のロッドが楽しい。ただし、大型のヒットに備えて、ラインンシステムは万全にしておくこと。使用ルアーは、5~9㎝前後のポッパーやペンシルベイトがメインだが、ミノーやスプーンで中層を狙うのも有効だ。

製品例
ポッパー

【投げ釣り仕掛け】

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投げ釣りで50cm級の中型を狙う場合、磯竿3~4号、ミチイト6~8号、ハリス4~5号、丸セイゴバリ16号前後といった仕掛けが目安になる。より大物を狙う場合は、タマン(ハマフエフキ)狙いに準じた強靱なタックルと仕掛けで挑みたい。エサはサンマのぶつ切りやキビナゴ、イカなどを使用する。
釣り場は、ベイト(エサとなる生き物)が豊富な堤防や海岸で、夜釣りも有効だ。アタリは一気に竿先を絞り込むので、しっかり竿を立てて応戦したい。


料理

ゴマフエダイをはじめとして、フエダイの仲間はほとんどが食用となり、南西諸島では刺し網や定置網などで漁獲され、市場などにも並ぶ。
白身で刺身やカルパッチョやヅケなどで美味。塩焼き、煮付け、ムニエル、フライ、汁物などもお勧めだ。
ただし、バラフエダイほどではないが、大型の個体はシガテラ中毒の可能性もあるので注意が必要。食味的にも、中型程度のもののほうがおいしい。

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

*監修 西野弘章【Hiroaki Nishino】
*編集協力 加藤康一(フリーホイール)/小久保領子/大山俊治/西出治樹
*魚体イラスト 小倉隆典
*仕掛け図版 西野編集工房
*参考文献 『週刊 日本の魚釣り』(アシェットコレクションズ・ジャパン)/『日本産魚類検索 全種の同定 中坊徹次編』(東海大学出版会)/『日本の海水魚』(山と渓谷社)/『海釣り仕掛け大全』(つり人社)/『釣魚料理の極意』(つり人社)

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